作品の解説:
流し目でにらんでいました。スモークと硝煙をかけているのでしょうか。(埼玉県/街のバーバラ)
どうしてデュークがはごろもフーズとコラボしたのか? もし、あなたが『ゴルゴ13』のよき読者であれば、すぐにピンとくるはずだ。『ゴルゴ13』には、いわゆる「神回」として「心霊兵器」というエピソードが存在する。SPコミックスでいうと70巻所収。これは、堅牢なクレムリンの建物の奥の奥に閉じ込められたフリーマンという超能力者を、デューク東郷が巧みに誘い出して狙撃するまでの物語である。すでに前置きが長くなっているので簡単に書くが、まずゴルゴは「清涼飲料水の写真」をサブリミナル的に挿入したコマーシャル映像を、フリーマンが欠かさず見ているアニメのCM枠に差し込む。代理店の人を買収かなんかして。そのうえで、クレムリンへの荷物を配達する業者をも買収、フリーマンの大好物である「オイルサーディン」を「ものすごく塩辛いオイルサーディン」にすりかえさせるのだ。このあたり、カネにものを言わせるデュークらしいやり口だが、結果的に「ものすごく塩辛いオイルサーディン」を食べさせられたうえ、サブリミナルの罠の仕込まれた映像にさらされたフリーマンは、激しい喉の乾きを覚え、たまらずベランダに飛び出してしまう。窓には近寄ってもいけないと、KGBからあれだけ止められていたというのに……。言うまでもなくデューク東郷は蛇のように「その瞬間」を待っていたのであり、こうして彼の仕事は滞りなく遂行されたのであった。今回のコラボ企画のチームの中に、以上のエピソードを知る者が必ずいたはずだと、わたくし三代目総本部長は確信する。そうでなければ「オイルサーディン」というさほど馴染みのない食品を、わざわざコラボ商品として選ぶとは思えないからだ。なお、パッケージをよく見ると「ゴルゴサーディン」と書かれており、「ただのダジャレだった可能性」もまた捨てきれないことを、最後に付記しておく。